キルギスタンでVR瞑想して暮らしたい! タコ部屋で自我に目覚めた男(後編)【たらい回し人生相談】
【たらい回し人生相談】〜ヤバいやつがもっとヤバいやつに訊く〜 連載第8回
■合法幻覚茶と謎の整体師との出会い:
Yくん:その謎の整体師の人っていうのは、幻覚剤と武術を組み合わせたまったく新しい整体をする人なんですよね。その人のスペシャルコースの整体っていうのを受けたんですよ。僕が幻覚剤を飲んでる状態で整体を受けるっていう。
大司教:はい。
Yくん:その整体を受けたら体が横にグギギギって曲がるんですよ。で「先生、助けてください!」って言ったら「俺はもう助けた。自分の神経の声を聞きなさい」みたいな。それで自分の身体みたいなものを自覚して、ふつうに立てるようになった時、体の前に球体がこう、生まれたんですよ(ボールのようなものを抱えるジェスチャーをする)それで「これは何ですか先生」って聞いたら「きみの心だよ」って。気がついたら号泣していました。
大司教:ワハハ、わけがわからない。
Yくん:そのとき初めて自分の心というものに気がついたんです。
大司教:いや心なんてないよ。あるといえばあるけど機能より外側の……真の実在があたかも(後略)。
そこから対談はいくらか軌道を外れ、宗教談義に移行した。難解になるので本記事では仔細は省略するが、禅や神秘主義、宗教組織の構造などの話である。一般的な日本人の感覚で言えば二人ともおかしいということになるだろうが、前述したように宗教的議論というのは世界的にはそれほど忌避されるものでもない。
大司教:なんにせよ、Yくんの体験については、そういう体験や実感があったことは分かるけど、自分は身体的な感覚が鈍いので(注)よく分からないといったところですね。
Yくん:心がマヒしていると体が壊れるんですよね。精神的なダメージが肉体的に出てくるんです。中国でマフィアの人たちに同席したとき、彼らが麻雀やりながらビール飲んで瓶をパンパン割ってる中にいて、その時は脳汁が出て楽しいな〜って思ってたんだけど、あとで体が不調になってたりとか。
大司教:この対談に関わってるようなタイプの人は、いわゆる体と心のバランスみたいなものは悪い人が多いですね。人によって出方はいろいろですけどね。表現の仕方もいろいろです。心身が分離したような感覚を操られているように感じると言う人もいます。
Yくん:自分の場合はそうだったということですね。
大司教:ただ、これは強調しておきたいですが、心身二元論みたいなもの自体をやめた方がいいと思いますね。あくまで便宜的な観念というか、実際には精神と肉体は別個に存在しているわけではないし対立しているわけでもないので。個人と社会とかもそうです。
Yくん:全体的にとらえたほうがいいってことですか。
大司教:自分の中から特定の要素を抜き出してアドホックに直しても、局所最適化になって別の場所に歪みが生まれますからね。我々は体の歪みとか心の歪みとかじゃなくて、周囲もまきこんで人生ぜんぶが歪んでるんだよ! 治せないし直せないよ。でも、それが才能ですね。才能というのはそういうものです。
注1:大司教は自身の体調に驚くほど無自覚である。たとえば寒さに鈍感で、普通の人がガチガチ震えるほどでも平然としている。しかしダメージがないのではなく、低体温症を起こし関節が変になったりして始めて気づくなどする。発達障害というと忘れ物や遅刻などの表面的な部分が強調されがちだが、このような感覚の極端などの面もある。ときに命に関わる。